みうみんのラノベ(深読み)屋さん

基本的に読んだラノベについて感想などを記録の意味も込めて書こうかなと。深読みもする。

『千歳くんはラムネ瓶のなか 3』再読━━『幻の女』と『カサブランカ』それと日常と非日常━━

 時の過ぎゆくままに

 

 

 

 

 どうも! ラブコメに恋をしたみうみんです!

 今回はこちら、


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千歳くんはラムネ瓶のなか 3 (ガガガ文庫)

千歳くんはラムネ瓶のなか 3 (ガガガ文庫)

  • 作者:裕夢
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: Kindle
 

千歳くんはラムネ瓶のなか 3 - ライトノベル(ラノベ) 裕夢/Raemz(ガガガ文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -

 

 『千歳くんはラムネ瓶のなか』3巻を再読しました!!

 先に言っておきます。私は『千歳くんはラムネ瓶のなか』の中で3巻がイチバン刺さってます。

 

 まだ回収していない伏線だったり、最初の時に気づけなかったことが多くありました。では少しだけ語らせてください。

 

 

 

 【日常と非日常、自由と不自由】

 ここでいう日常のひとつは内田優空で非日常は西野明日風です。2巻でもそうでしたが今巻はよりいっそう内田優空が日常の象徴として描かれていたと思います。そして西野明日風は非日常。ところどころで千歳朔は柊夕湖だったり、七瀬悠月だったりをどこか頭の隅で思い浮かべてしまっているところ、ギャップ、喩えに使われたラベンダーの香りなどから伝わってくるのではないでしょうか。

 ちなみに進路相談会での席順で千歳朔と内田優空の距離は遠かったりします。

 もうひとつは福井東京です。現実。移動手段も空路を使うことができたはずだけど、陸路。いままで見てきたものとこれから見るものをありありと丁寧に描いていた。

 

 

 

 【幻の女と相互理解、『愛さずにはいられない』】

   連絡先も知らない幻みたいな関係の2人。相互理解して先輩と後輩から西野明日風と千歳朔へ。「ちゃんとここにいるから」「君のこと抱きしめてもいいかな?」 と夢でも幻でもないのだということをちゃんと確かめるように。

 『幻の女』という作品がこの巻にいろいろかかってるのはわかりました。他の方々も述べているので私は避けます。

『愛さずにはいられない』という自伝的小説。ちょっと常人とはかけ離れている生活を送っていたことも今巻では日常、非日常を印象づけるのにうまく機能していたと思います。この作品のなかにいろんな音楽が出てきてそのときの心理描写を際立せる役割を担っていたり、チラムネもそこ意識してるのかな? って。(『H2』という作品にもそういう描写がありそこも? なんて、思ったり)

 

【王様の耳はロバの耳】

 この寓話。言わなかったらバレなかったけど、言ってもみんな気にしなかった。すこし東京の人みたい(3巻読んだ人に伝わると信じて)。噂は思いもよらぬところから広まるもの。

 

これも3巻の空気感をよりよいものにしていたなと。

 

ヘンゼルとグレーテル

  

 グリム童話ですね。今巻に出てきています。

一般的に伝わっている物語では、老婆が自分をかまどで焼こうとしていることに気づいたグレーテルが、機転を利かせて反対に老婆をかまどに閉じ込めます。

しかしこれまで兄に頼ってばかりだった少女が、こんな大胆で残酷なことを本当にできるのでしょうか。実は初版の「ヘンゼルとグレーテル」には、彼女がこの行動をとる明確な理由が描かれています。

「老婆の顔に母親が重なった。自分たちを森に捨てた、残酷なあの女の顔が……」

グレーテルは、自分たちを森に捨てた母親のことがどうしても許せなかったのです。兄や自分がこんな目に遭っているのはあの母親のせい……そんな強い恨みが、彼女に勇気を与えました。

つまりグレーテルは老婆を殺すことで、これまで自分たちを苦しめてきた母親からも解放されたと解釈できるのでは??といわれています。

 

でも、西野明日風は親の正しさから目を背けずにこうなったのは親のせいだと決めつけず、逆に感謝して自分が決めたことだと認めたのです。だから西野明日風は大丈夫だと思います。闇堕ちはしない!!

 

童話「ヘンゼルとグレーテル」は本当は怖い?初版のあらすじや時代背景を解説 | ホンシェルジュ

 

 目印が月の光で輝く石ってのもいい。パンを目印に変えるんだけど鳥に食べられて目印がなくなるってのも『幻の女』とかかってる気もしなくはない。

 

 

「きっと」「どうせ」

 

 このふたつの言葉が今巻では多々見られます。

 「きっと」という言葉には少なからず、こうなるんだろうなという未来への期待やこうなって欲しいという望みが込められていると思います。逆に、「どうせ」という言葉は諦める理由を探す時。

 私が「うおおお!!!」ってなったのは、

 

━━この人のお嫁さんになることも、きっと、ない。(P.379)

 

「もしいつか朔兄がひとりぼっちで寂しくなったら、私がお嫁さんになってあげるよ」

「君の泣き虫がなおったらね」(P.341)

 

「私の一生分は、ここに置いていくから」

 というこの文たち。喪失感が漂いそうになりますが、「きっと」なんですよ、西野明日風の泣き虫はなおってないけど、そこに西野明日風は置いていくんです。だから、きっと……そんな未来があるかもしれない。だって彼女の物語なのだから(この物語の主人公なんて言うまでもない……だろ?)。

 

 

 

 

【『 ワイルド・サイドを行け』と『 バイバイサンキュー』】

 

https://youtu.be/NIHj9-OeulQ (ワイルド・サイドを行け)

https://youtu.be/LFr1uIaGe7A (バイバイサンキュー)

 これは今巻のなかに出てくるGLIM SPANKYとBUMP OF CHICKENの曲のひとつ。

 前者は柊夕湖と内田優空が千歳朔の家に押しかけ女房()したときにランダム再生(ここ重要)で流れた曲。

「悪い予感のする方へ行く」という歌詞が、いま歩き出した西野明日風を表してる気がして……福井から出るところ考えられない、まだ見えない、このまま流されそうと言う内田優空と柊夕湖との対比な気がしたのです。(どこに向かって進めばいいのかわからない千歳朔……)「日々は分岐点ばかり」という歌詞も向き合わなければいけない千歳朔たちにピッタリです。

 

 後者の『バイバイサンキュー』は、明日姉と千歳朔がデートしたときのカラオケで千歳が歌ったもの。そして、明日風と千歳くんが東京から福井へと戻る新幹線で聴いたもの。このふたつはちょっと違う。だって、彼女の場所はここなんだ。

 

 

【ストロベリームーンと王様とバースデー】

 最後の方で、千歳朔と西野明日風が見た月。その月は片思いの人と見た場合、恋人になるといわれていたり、単純に幸運が訪れるといわれていたりします。

 太陽が高く、月が低いからこそ見える現象だそうですよ。月に手が届いちゃいそうですね!

 

 王様とバースデー、ドラマCDの特別編のやつ。千歳朔が誕生日もらったプレゼント全部出てきます。ですが柊夕湖のものだけうまく避けられるんですよ……。悠月は夫婦の木、陽は一番星、優空は飛行機雲と4人はトクベツなものを見ています。が……

 

あーあ。

 

 

【みんな誰かの月だ!】

 

  ラムネの瓶に沈んだビー玉が誰かの月なら、ラムネの瓶に浮かぶビー玉だって誰かの月でいいはずだ。だって決めるのは自分なのだから。

 ここの描写はもう震えましたね。

 

 

さて、最後にイチバン言いたいことを

 

 

【『カサブランカ』と『As Time Goes By』】

 

 そう。このふたつ。今巻の空気感を包んでいたのはこれらなのではと思うんです。ずっと読んでる時に『As Time Goes By』が流れている感覚になりました。特にVerseと呼ばれる部分が響きます。

 

 

明日風と朔の「カサブランカかよ」っていうやり取りはちゃんと作中に出てきます(わりと序盤ドヤ)。

 

 

 あらすじ:
第二次世界大戦時、ナチス政権がヨーロッパで猛威をふるっていた時の事。
ナチスから逃れるため、親ドイツのヴィシー政権支配下にあった北アフリカロッコの首都、カサブランカへ避難していた。多くの人々がアメリカ行きを願っており、中立国であるリスボン経由での亡命を図っていた。
そんな中、アメリカ人のリック(ハンフリー・ボガード)は、自身がカサブランカで経営する酒場「カフェ・アメリカン」にて
1940年にパリがドイツに占領される以前、突然リックの前から姿を消した恋人のイルザ(イングリッド・バーグマン)と運命の再開を果たす。

 

  引っ越して会えなくなった西野明日風と千歳朔にもかかってる気がする。

 ここからは少しネタバレ

 

第二次世界大戦中、ヨーロッパではナチスドイツの侵略が広がると多くの人がアメリカを目指しました。

亡命者たちにとって中継地リスボンへの道のりは厳しいものでした。パリからマルセイユ、地中海を渡りオランへ。そこからフランス領モロッコカサブランカに行き、飛行機でリスボンに飛ぶという複雑な経路をとるのです。

 

 

ある時、ドイツ人情報員が殺害され、通行書を奪われる事件が発生。犯人はカサブランカに潜伏中との情報がはいり、地元の警察は犯人探しにやっきになります。

カサブランカの空港にはドイツ空軍のシュトラッサー少佐が降りたち、迎えに来たルノー署長に事件について尋ねます。ルノーは犯人の目星はついている、リックの店で逮捕すると応えます。

リックの店「カフェ・アメリカン」はアメリカ人のリックが経営しているバー兼カジノです。

リックのもとにウガーテという男がやって来ました。彼はリスボンへの通行書を手に入れて人に売る約束をしているのだが、一時間ほど預かってくれないかと頼み、カジノへ向かいました。リックは通行書をピアノの中に隠します。

シュトラッサーが到着し、警察はウガーテを逮捕します。ドイツ人を殺害して通行書を奪ったのはウガーテだったのです。

しばらくしてラズロとその妻が店にやって来ました。彼女はピアニストのサムと知り合いのようで言葉を交わしています。

彼女はサムに「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」をリクエストします。サムが弾き始めると、リックがやってきて「その曲は禁止だぞ」と強い口調で言います。すぐに女性に気付き二人は見つめ合います。

彼女はかつての恋人、イルザでした。「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」は想い出の曲。パリ、凱旋門、二人で過ごした幸福な日々がサムの脳裏を横切ります。(明日姉と聴いた曲たち)

ルノーが来てリックに忠告します。「ラズロという反ドイツの政治活動家が出国ビザをほしがっている。妻と二人で出国するつもりらしい。しかしここに留まらせる。フランス警察の力を見せてやるのだ。決して邪魔をするな」と。

 

 店からドイツの愛国歌「ラインの守り」が聞こえて、それをドイツ軍士官が我が物顔で歌っています。

ラズロは楽団に合図をし、フランスの国歌を演奏させます。すると店の客たちが次々と立ち上がり大声で合唱をはじめ、「ラインの守り」をかき消してしまいます。歌い終わると喝采が起き、中には涙する人も。

 

 客たちを奮い立たせた国歌、チラムネ3巻は応援歌。

ここの部分、川に飛び込んで泣かせないようにした千歳朔(明日姉)が当てはまるのでは?と、思いました。

 

 イルザと再会して「何も聞かないって約束」「君のことを何も知らない」「10年前の話」っていう部分が今巻に当てはまるなとも思いました。

 

 カサブランカでは誰もが悩んでいる。自由を手にするための中継地点、分岐点。そことかの空気感とかが3巻とマッチしてると思います。

 

 

「君の瞳に乾杯」というこの言葉何回か出てくるが意味が少し違って見えます。パリで幸せな時、占領下で明日が見えない時、再会しパリの時を取り戻した時、別れを告げる時。

 軽い感じから人柄を知れる口癖へ。深く。

 チラムネ3巻で何回も確認するようなやりとりはここを想起させられます。

 

 

 

以上!!乱雑に思ったこと書きました!! どうなんですかね?

 

 

【おまけ】

最後のページを綴るのは自分でありたい

 

この4巻の明日風SS。「捲る」という読者目線ではなく、「綴る」という編む人目線。3巻再読してから読み返してみました。西野明日風は編む人と言っても編集者を目指しています。見つけて届ける側……その場所にいるのは彼女!! っても思いましたが……さてどうなることやら。

 

 

 

 

BUMP OF CHICKENの『宝石になった日』も過ぎったけどどうなんだろ?

 

 

 

短パン姿の君と行ったお祭り、ある人に押しつけられた藍色の浴衣を着て悠月と行ったお祭り、そして━━

黒地に小粋なとんぼ柄のあしらわれた浴衣を着て〝誰か〟と行くであろう夏祭り